気分はすっきりすっかり作道先生
(「すっきり」を「すっかり」に訂正してあります。詳しくはクリックしてみてください)
 本質は具体化する 快剣撥雲-豊穣の剣道を読み終えて
広島県 廣目了久


  
目の前にそびえ立つ壁。その迫力といおうか、いい知れない圧力に負けないよう我慢する。恐怖心を振り払い一歩前に出る。「ここか?」という機会に打ちにでるが返される。再び対峙し「ここではないのか?」と思った瞬間打たれている。「何なんだこれは!?」あっという間に懸かり稽古となり終了。

  勝浦での研修で作道正夫先生に稽古をお願いした。作道先生については剣道雑誌の記事を拝見したり、田舎の先輩が大阪体育大学剣道部卒で機会あるごとにお話を聞いていたので今回の研修会の講師のお一人である先生にはぜひ稽古をお願いしなくてはと思っていた。また、剣道の持つ文化性・教育性・社会性を大変わかりやすく説明してくださった、岡村忠典先生の講演にも大変感動し大満足の研修会であった。よく任侠映画を見た観客がすっかり「高倉健」になって映画館からでてくるというが、気分はすっかり「作道先生」で研修センターを後にした。

  研修から帰り、むさぼるように岡村先生、作道先生の執筆された書籍や記事を読む中で出会ったのが「快剣撥雲―豊穣の剣道」(作道正夫著)である。作道先生の懸待一致の剣道がどのようにして形成されていったのかがよくわかる。たった一回ではあるが先生との稽古で自分が感じた感覚がここにあるという感じである。さらに作道先生、岡村先生の共通の師である湯野正憲先生の思想やお人柄にも触れることができた。一気に読み終え、先生が師の剣道を追い求められ継承していこうとされていることに深い感動をおぼえた。私にとってこの本は今回の研修会のよい復習であるとともに、これからの自分の剣道の指針となるべき本であると思う。

  岡村先生が師湯野先生の言葉として紹介してくださった「本質は具体化する。しかし具体は本質とはなりがたい」を胸に、剣道の本質を具体化すべく精進しようと思う。

(「剣道時代」剣道談義 平成17年5月号 P.196)

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