
聖護院門跡
プロローグ『道楽者と呼ばれたい!!』
今年もいよいよこの季節がやってきました。家族や職場への迷惑もかえりみず(ホントは心苦しいのよ,分かってね),今年は京都へ4泊します。明日から六段審査の応援,そして7段審査の下見,それからそれから8段審査の応援と続きます。メインイベントは事務局長の武徳殿初登場でありますが,ここはひっそりと見守ってね。
思えば京都大会にあこがれて,六段挑戦はもちろんのこと,称号審査も「剣道社会体育指導員養成講習会」や「全国高等学校・中学校(部活動)指導者研修会」も,自分にとってはこの日のためにあったように思います。さあ,物語はクライマックスへと突入します。京都へ集う全ての皆さま方,どうぞよろしくお願い申し上げます。
京都日記 第1日目『事務局長,京都の暑さにびっくりするの巻』
いま京都に来ています。宿泊先にネット環境が整っており,今年はマイパソコン持参で来ました。パソコンをいじっていると,ほとんど家と変わらない気分ですねこれが。私も,やはりバーチャルな人間なのでしょうか。
2時30分,家族に気を遣いながら起床。ここのところ風邪で伏せっていたため,支度もできておらず,急いで衣類を出したり防具や道着を詰め込んだりする。ここで問題発生。新幹線で京都まで行くのに防具袋(剣道着,袴がそれぞれ2枚入り)に,4泊分の衣類の詰まったバッグ,それにパソコンと竹刀袋で,これじゃー持ちきれない!?ことが判明。乗り換えも最低2回はあり不安な気持ちになる。それではと,防具袋と衣類でパンパンのバッグをタスキ掛けにする。これが効きました。タイガージェットシンのコブラクロウもさもありなんというくらいに頸動脈が締め付けられ,危うく京都に到着する前に失神するところでした。仕方なくひもを調整して肩に掛けるが,これが自動改札機を通るたんびにガンガンとぶち当たる。面体当たり引き面で,こんだけ体当たりできたらいいなぁーと思うくらいでした。(JR西日本さんごめんなさい)途中,中体連のS先生と一緒になり,タクシーで京都市体育館まで一緒に行く。学校の話などひとしきりしていると到着。S先生の健闘を祈って別れる。本日は5会場が準備されており,向かって右に1〜3会場(若いほうです),左に4,5会場(49歳に近くなります)がある。いつもと比べ,開始線も斜めに取ってないし,広々と使えるようで,受審者にとっても好ましいことです。その一方で,六段に挑戦する人が減っているのかな,とも思いました。
会場に到着すると,既に昨日から京都入りされているI,O両ご夫妻と会う。I先生は,今回が初めての挑戦で,共に稽古してきたこともあり,是非合格して頂きたい。受審番号が発表され,垂れの中央にシールが貼られていく。I先生は519のC。ビデオで撮影するために番号を控える。会場には,財団法人広島県剣道連盟の旗が立っており,昨年同様T橋先生にご挨拶。15組あたりで,午前の部の前半が終わり中入り,そして合格発表がある。19組のI先生は,緊張しながら待っていることだろうなー。直に午前の後半の審査が開始され,19組が近くなりビデオを準備する。なぜだかこっちまでドキドキしてきました。A−Bのあと,C−BそしてC−Dと2回の立合。一人目は,相手が小手に来るところを吹っ飛ばしていい姿勢の面が決まる!おおっ,とため息が出る。これは調子いいかも知れない。何本か面を繰り出すも,決定的な2本目は奪えず二人目へ。こちらも面で勝負に行くが,不十分な出小手に阻まれ,決定的な有効打突は無いように見える。
結果は,残念ながら不合格。一緒にいたO先生も残念な結果でありました。新幹線で一緒だったS先生,三次のK先生,同級生のM君も残念だったとのこと。私の知り合いは,全て厳しい結果であったようであります。
審査が終わり,I先生の車で,Oご夫妻を新幹線まで送る。その後,宿舎までI先生に便乗させて頂き,チェックインのあと,風邪で頭がボォーっとしてきたため寝る。電話で起こされ,Iご夫妻と夕食に出かける。うまいと評判のエビをいただく。頭からしっぽの先まで完食。それから,京都大学と早稲田大学が共同開発したという,エジブト?のビールを飲む。これが,毎日軟弱な日本のビールを飲んでる喉にガツンと来る。味わい深いビールでした。さすがはエジプト文明の力であります。I先生ごちそうさまでした。
さて,明日は七段審査が同じ会場であります。風邪の具合にもよりますが,ぜひ見学に行きたいと考えています。
京都日記 第2日目『ありがとう「串八」百万遍店の巻』
本日は七段審査の見学に行ってきました。地下鉄を乗り継いで,えーっと,乗り換えは三条駅だったか,四条駅だったか,ええいっ,ここだ!と三条で下車するも,駅員さんに「阪急の乗り換えは四条ですよ」と諭され,再び一駅だけ乗る。去年も同じところで乗り換えていたのにもう忘れてしまっているとは,我ながら情けない,とほほ・・・。気を取り直して四条河原町から阪急に乗り換える。やれやれと腰を下ろすと,今度は特急は会場のある西京極駅に止まらないとの車内アナウンス。次の急行に乗り換える。河原町からは,「普通」または「急行」しか西京極には止まりません。ここポイント,よーくメモしておくように!!会場では,前の広島県中体連専門委員長のI先生や,かつて教職員剣道大会の個人決勝で敗れたN先生の姿がある。頑張ってね,と激励。また,財団法人広島県剣道連盟関係では,明日の八段審査に挑戦される先生方も応援に来られているようで,TSS杯で同じ会場の主任だったM田先生とお話しする。M田先生は「わしゃー,八段製造器よぉ!」だって。うまい!!笑点ならば「おーい,山田くん,座布団一枚もっといで!」と言ったころか(失礼)。いや,二枚だな(またまた失礼)。
ここで突然ですが,「七段審査についての一考察」!!本日午前中,50歳以下の先生方が七段審査に挑戦されました。会場は,昨日の六段審査より1会場増えて6会場。この6つの会場に,16組(64人)〜17組(68人)が年齢順に入ります。事務局長が本日受審していれば,第2会場に入ります。でも実際に受審するのは,順調にことが運んだ場合で第4会場であります(あくまでも本日の割り振りが基準です)。さあ,それでは各会場の合格人数を発表します。午前中の審査は,前半と後半に分けられており,計2回の合格発表があります。本日は10組までとそれ以降に分けられておりました。合格者は,発表と同時に整列して剣道形審査会場へと案内されます。会場別合格者は次の通りです。第1会場9名(うち前半合格者6名,以下同じ),第2会場8名(5名),第3会場5名(2名),第4会場10名(6名),第5会場5名(3名),第6会場9名(3名)。こうやってみると,第3会場(44才あたり)と第5会場(48才あたり)の結果が厳しいといえます。技術的なことについて気の付いたことが多少ありますが,私の立場では受審者の方々に失礼になりますので控えます。
ところで,広島県高体連,中体連関係の先生方についてはみなさまにご報告申し上げるだけのよい結果は出ませんでした。率直に言って,六段も七段もたいへん厳しいというのが感想であります。八段は,もう雲の上も上,ほとんど夢のようなところにあります。
さて,本日は京都大会のすばらしさを教えて頂いた千葉の大塚武男先生と夕食を共にしました。先生からは,高名な八段剣士のお話をいろいろと伺うことができ,大変満足しました。(「串八」百万遍店の黒ビール,串揚げ,串焼きにも大満足)。明日は,大塚先生のお供で八段審査見学に行きます。1会場の後半か2会場の最初だと思いますので,事務局長を見かけられましたらお気軽に声を掛けてください。それではお休みなさい。
京都日記 第3日目『事務局長,勝手にクタクタの巻』
皆さん,いかがお過ごしですか。こちらは朝暑く昼間から夜にかけて寒いという,なんだかよく分からないお天気です。直りそうな風邪も,たちまち咳がぶり返してきました。
今日は,大塚先生のお供で,宿を7時25分に出発。審査会場に到着後,荷物の番をしておりました。本日初めて知ったのですが,形審査が行われるサブアリーナでは,朝も早うからたくさんの八段受審者の方々が稽古されておりました。こんなところで稽古ができるなんて,初めて知りました。ここで受審する機会があったら活用しよっと。さて,審査の方ですが,報告を入れた通りであります。私が今よりもずっと若かった頃,県の中体連剣道部でお世話になった本多先生が一次審査を通過されたことは,たいへん喜ばしいことであります。二次審査の様子を撮影する腕が震えました。結果は,なんとお相手が八段合格。審査は本当に紙一重だと感じました。本日は,県の剣道連盟の先生方とお話しする機会が持て,有意義でありました。T橋先生からは「あんた,毎日来よぉーるのー」と,(きっとたぶん)ほめて頂きました。決してあきれた表情であったなどとは,ここには書けません。それから,大塚先生の応援に来られた警視庁の西川清紀先生にもご挨拶。明日の朝稽古では掛かっていこっと!!明日の朝が早いので,このへんで寝ます。お休みなさい。
(追伸)本日素敵なメールを頂きました。ご本人の了解はいただいておりませんが(^^;)みなさんにご紹介します。
「一組の立合は,花火のごとく輝いて終わる,二度と見ることの出来ない瞬間の芸術」
京都日記 第4日目『事務局長の本当の目的はなんだ の巻』
5月3日の京都日記を掲載します。
朝稽古に間に合うだろうかと少し不安な気持ちがあり,ぐっすりとは眠れなかったが,5時前には目が覚める。荷物を整理して,本日の宿となる御殿荘へ移動する。短い距離ではあったが荷物が多いため,徒歩での移動はあきらめタクシーで向かう。御殿荘で素早く着替えを済ませ,6時半からの朝稽古へ。今年から朝稽古の内容に変更があった。これまでは,朝稽古のすべてが8段に掛かっていく時間であったが,今年からは,6時半から40分間が指導稽古で,7時10分からの20分間は8段同士の稽古の時間となって,7段以下はお互いに稽古することになった。まずはじめに岩手の浅見先生に掛かる。面だけを打って出るが,出端を軽々と乗られてしまう。やはり,どのように打つかということをもっと研究しなければならない。その後も,他の先生にお願いして,7時10分になったところで朝稽古を切り上げて,武徳殿へ移動する。ここで,剣道着と袴を着替える。床の感触を確かめるが,足に馴染むというか非常によい。ここで試合ができると思うと,自然と気持ちが高ぶってくる。大阪の田伐先生をお見かけして,ご挨拶。武徳殿内部をいろいろ撮影されているようで,今年も素晴らしいDVDを製作されるされることだろう。開会式があり,剣道形演武のあとすぐに試合になる。2試合目ということもあり,緊張する間もなく東の試合場へ。思い切って面を打っていこうとするが,小手を打たれる。その後やりとりがあり,今度は小手を打とうとするところを,上から面に乗られる。気分良く(?)負ける。会場を出るとき,熊本範士に出会い挨拶をする。「しっかり頑張ってください」と,有り難いお言葉を頂戴する。また,会場の外では試合を見て下さった松尾先生から,間合いの詰め方についてアドバイスを頂く。有り難いことです。伊藤憲治先輩からは,打って出る前の右膝の使い方についてプロフェッショナルなご意見を聞かせていただきました。有り難うございました。宿舎へ帰り着替えた後,また会場で少し試合を観戦する。その後,河道屋養老で,名物「養老鍋」を頂く。ここは,俳優の勝新太郎さんも贔屓にしていたお店だとか。事前に予約していたので,店先で待っている沢山の人を尻目に,どんどんと店の奥に入って行けました。剣道でもこの用意周到さがあれば・・・,と思った次第です。昼まっからビールをぐいっ,プハーいいねぇーいいねぇー,試合の後のビールはうまいっ!!と,どんどん飲むがなんか雰囲気がおかしい。そうでした,一緒に行った伊藤憲治先輩の試合はこのあとにあり,最後の方は手酌で一人寂しく飲みました。(本当は,「うめぇーうめぇー」とうれしそうに飲みました)宿舎の御殿荘に帰ると,高校の同級生の土崎くんに出会い「ようっ,久し振り!」とビールで乾杯。4時になったので,伊藤憲治先輩の試合の応援&ビデオ撮影。終了後,風呂に入ったあと宿の夕食のときビールで乾杯。その後,近くのスーパーで缶酎ハイを購入し部屋へ持ち帰る。三次市から参加された北辰会の先生方の部屋へちょっと挨拶に行ったつもりが,ついつい長居となり,注ぎ上手の先生方にビールを沢山飲ませていただく。余り遅くなってはと部屋へ帰り,買っておいた缶チューハイで伊藤憲治先輩と乾杯。いま書きながら,なんじゃこりゃと思ったね。さてここで問題です。事務局長はこの日何回乾杯したでしょうか。こらこら,数えなくていいです,いいです。
京都日記 最終日『事務局長の「明日は,どっちだ!」の巻』
さて,京都の旅もいよいよ最終日であります。
御殿荘で5時頃には目が覚める。昨夜の飲みが足らなかったか(!?)結構頭はすっきりとしている感じである。それとも,二日酔いの頭痛を感じないくらいに飲み過ぎたか。5時半に伊藤憲治先輩のアラームが鳴り,起きて着替えをする。6時半の朝稽古に備え,宿を6時15分頃に歩いて出発。御殿荘のよいところは,なんと言っても武徳殿に近いと言うことに尽きます。武道センターに到着すると,昨日よりは参加者も増えており,大混雑状態。今回初めて知ったのですが,記帳は参加者全員がするそうです。赤や青の印を付ける大先生だけかと思い込んでおり,これまではすぐに右側の下足置き場へと入っておりましたが,この度初めて記帳させて頂いときました。さて,最初に掛かったのは青森から来られた8段先生でありますが,私の面に対して何度も迎え突きを頂き,だんだんと出方が分からなくなって参りました。私の課題に対して私が向き合わなければならないように,ていねいにご指導をいただいたのだと感じました。次は岩手の浅見先生であります。昨日に続いてのお願いですが,本日も面で勝負!のつもりが,まったく勝負になりません(なるわけない)。竹刀の当たりは「カン」という感じですが,体が前からぐぐっと迫ってくる感じでありました。後であいさつに行ったとき,足の使い方についてご指導いただきました。最後は東京の豊村先生にお願いする。7時10分になり,サブ道場に降りて東京の島野先生に稽古をお願いする。しかし・・・,笑顔で面を打たれました。文字通り段違いの強さであります。朝稽古が終わり,御殿荘へ帰り風呂に入ったあと朝食。ここには大先生も大勢泊まっておられるようで,F本範士,O村教士,M上範士を朝食会場でお見かけしました。この日の朝食は,自分で作る目玉焼きが無かった替わりに,湯豆腐でありました(どちらも一人用コンロ使用のもの)。また,以前はみそ汁のおかわりはしていただけませんでしたが,今回はOKでした。細かいところだけど,ちょっとうれしい。10時のチェックアウトに間に合うように荷物をまとめ,防具だけは宅配便で送る。武徳殿で試合観戦のあと,昼になり伊藤憲治先輩と熊野神社近くの第一ラーメンへ。ラーメンと餃子と,ちょっとだけビールを飲む。「うめぇー,うめぇー」と,やぎかひつじのような有様。最後もしっかり飲んで今年の京都大会を終える。
京都大会に初出場することができ,大きな目標を達成することができました。ここまで,まわりの皆さまに支えられてやってくることができました。今回の試合では,よりそのことを実感したいと,袴は六段昇段のお祝いに春霜会の皆さまから頂いたものを,剣道着は妻の両親から頂いた昇段祝いで買ったものを身に付け,竹刀は今年の初稽古で伊藤憲治先輩から頂いたものを使わせていただきました。「京都大会に出られたら,思い残すことなく剣道を止めてもいい」などと冗談とも本気とも付かないことを春期特別訓練中には特別訓練生1号さんに向けて口走っておりましたが,どうやら今回の京都大会で新たな課題が見つかりました。技術的には,朝稽古でご指導いただいたことを指針にしたいと考えています。しかしなにより,竹刀を当てるとか試合で強いとかという以上のものが剣道には必要とされていることを確認できたことは大きな収穫であります。それは高校時代の同級生,土崎祐一郎君が岡村忠典先生の言葉として語ってくれた中にありました。
今後とも一生向上し続ける剣道を実践するべく精進する所存であります。一層のご指導ご鞭撻をお願い申し上げます。
(おわり)
おまけ 「京都大会思い出のビールを『週刊文春』が紹介!」
「京都日記第1日目」で紹介した京都大学と早稲田大学が共同開発したビール「ホワイトナイル」を,今週発売の週刊文春(5月25日号)が取り上げています。「頭が良くなる味?京大と早大が開発したビールが人気」と題した記事では,TBS系「世界ふしぎ発見!」でおなじみ早稲田大学吉村作治客員教授のエジプト古代ビール研究が開発の発端と紹介。
これから益々ビールの旨い季節がやってきます。稽古あとの一杯は,うーん,何ともいえんのぉー。今夜もまた日本製スーパードライで「うめぇー,うめぇー」と山羊か羊の予感であります。「ホワイトナイル」ぜひお試しあれ!
(2006/5/21) |

鴨川 |

武徳殿 |

河道屋養老 |
|
|
 |
 |
|