第28回全国高等学校・中学校剣道(部活動)指導者研修会に参加して
吉岡主税
前略
 冬の寒さを足の裏に感じるこのごろですが、それでも例年に比べると素足での稽古が苦になりません。
 さて、先日の勝浦での研修会では大変お世話になりました。本当にありがとうございました。電車の時間の関係で挨拶もせず帰り、心苦しく思いペンをとりました。最終日の朝には、お心遣いまでしていただきありがとうございました。先生の言われたとおり息子に(高3と中3で一応剣道をやっています)に勝浦土産としてイワシの骨せんべいや落花生などを買ってかえってやりました。
 この研修会に参加するのは二度目です。2年前の前回は三浦先輩も一緒の参加でした。緊張と、かなりの決意を持っての参加でしたが、到着してすぐに作道先生が参加されなくなったと聞き、拍子抜けしたのを思い出します。しかし、正直を言うと心のどこかでホッとしていたところもあったかもしれません。気持ちをすぐに切り替えて、色んな先生にかかっていこうと思いました。目黒先生と林先生に2回ずつ稽古をお願いしました。遠藤先生との稽古や岡村先生のお話も大変勉強になりました。帰りの飛行機の中で「また参加したい。」と思ったほどです。
 今回は当初参加の予定はありませんでした。田舎の後輩から(出張・廣目)「一緒に行きましょう。」と電話がありました。一人では飛行機にも乗れない私は、彼らにチケットをとってもらい、背中を押されながらの参加でした。しかし結果としては前回をはるかに上回る充実したものでした。先生にお願いした3回の稽古。1回目、自分なりではあるものの、広島でコツコツ汗を流してきたつもりでしたが「いやいや、まだまだだ。」2回目、とにかくもう1回お願いしてみよう「よし。きたか。」3回目、朝起きるまでかかることを迷っていました。苦しいけど稽古をお願いできることを喜びとしよう。迷っている自分に、楽な方を選択するのはやめよう「少しでもいいから俺の方に近づいて来い。」そう言って上から手を持ち引っ張っていただいたような気がしました。私自身稽古をお願いして勉強になったのはもちろんですが、指導するということ・師という者、そのことを教えていただいたような気がします。
 今回の収穫はそれだけではありません。今まではっきりわからなかったことがありました。そのもつれた糸がすっきりとした感覚があります。それは先生がいつも言われている「懸待一致」「いける・できる」ということです。先生にお願いした稽古のあと、できるだけ近くの先生にお願いし、待つ間に見取り稽古をしました。2日目の夜のテーマ別研修(自己研修)で、岡村先生が話された内容です。「攻め」についての話題の中で、「作道先生も言っているが、懸待一致が剣道の極意」「いらっしゃい。来たら返すよ。さあどうぞ。」→入る→行っても返されるからと一瞬止まる→そこへ先をかける。「待つ気で打つ・打つ気で待つ」その話を聞いて、先生の稽古そのものだと思いました。この組み立てに呼吸法(丹田呼吸)を加え、気持ちを上げない。わかることと、できることは違うと思いますが、今後稽古をしていく中で財産になりそうです。
 3日目、先生に稽古をお願いした次に、岡村先生にお願いしました。稽古のあとで「一言で言うと、いい稽古だった。…」そう言っていただきました。グループ別のまわり稽古の時にズルをしたこともありますが、前回以上に多くの先生方に稽古をお願いできました。林先生・本屋敷先生・山中先生・朝内先生・宮澤先生・中島先生、先生方との稽古の中で感じたことは、もちろん自分の力のなさです。しかし、同じ八段の先生にも色々な剣風や、地の違いがある。方向を誤らず地道に稽古をすれば「自分だってまだ伸びる可能性がある。」
そう思えたことは今後の励みになりそうです。
 健康と環境に感謝・生きていることに感謝。いつまでたっても苦しいことから逃げたいと思っている弱い人間ですが、汗を流すことを怠らず、本質の具体化という作業を続けていきたいと思います。まずはとりあえずお礼まで、本当にありがとうございました。
草々
平成17年1月8日
吉岡 主税
作道 正夫 先生へ
 
追伸、田舎の後輩より今回の手紙をOB会(春霜会)のホームページに載せたいと連絡がありました。 ご了承ください。
他の感想はこちら→廣目了久出張幸雄

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