今回は,私にとって三度目の全国指導者研修会であった。一度目は四段のとき,文字通り右も左も分からぬままに参加した。全国規模の研修会は初めてであったが,このことをきっかけにその後の京都大会見学や全剣連の剣道社会体育指導員養成講習会に繋がっていった。そういう意味では,私の剣道への取り組み方を決定付けた研修だったと言える。二度目は五段のとき。吉岡先輩が参加されると聞き,それに便乗する形で高橋喬専門委員長に無理を言って参加させていただいた。質,量共に豊富な八段の先生方に稽古をつけて頂いたこと,テーマ別研修の自己研修法の内容がとても勉強になったこと,教養講座の岡村忠典先生のお話に感銘を受けたことなどから,帰りには三度目の参加を誓って飛行機を降りた。そして今回が三度目の参加である。きっかけは廣目君が参加することを聞き,これを見逃す手はないと吉岡先輩を半ば強引に巻き込んだ訳である。今回は六段になっており,偶然にも三度とも異なる段位での研修会参加となった。
今回の講師は16名で,そのうち14名が八段である。これだけ多くの八段が講師を務める研修を私は知らない。おそらく日本一八段に恵まれた研修会ではなかろうか。講師に稽古をお願いできるチャンスは朝稽古と実技研修である。実技研修は段別に掛かる日にちが決まっており,確実に稽古できるのは朝稽古である。早朝5時前には起床して,講師の防具の前に自分の面を並べておく。八段との稽古は,一言で言うと苦しい。攻められて出たところを打たれるか,攻められる前に出て打たれるかのどちらかである。どうせ打たれるのならば,積極的に出て打たれようと心掛けるが,かなりの体力を必要とする。稽古が終わると,お礼を言い一人ずつアドバイスを頂く。脇本先生からは間合いが近いこと,正確には打つ瞬間の間合いが近いことを指摘された。村上先生からは,広島に帰ったら熊本先生と高橋先生によろしくと言われた。目黒先生との稽古では,稽古の前と後の礼や蹲踞がとても美しいと感じた。「しっかり頑張ってください。」との言葉が心にしみた。三日間を通して6人の講師に稽古をお願いすることができた。
「生涯武道」を標榜する春霜会の事務局長としては,今回の研修会から生活の中で剣道を修行していくために確固たるものを得んとして参加した。すべてにおいて非常にレベルの高い研修であったが,その答えは教養講座の岡村忠典講師のお話の中に集約されていたといえる。これからの人生の中で剣道の修行をしながら,少しでも周りの人たちによい影響を与えられるような生き方をしたいと思った次第である。許されるなら,あと一度だけこの研修会に参加する機会を与えられればと願うばかりである。
(2005/1/10) |
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