1996年より広島市内から中国山地の県境の町へ事務所を移転しました。移転の目的は自然豊かな場所に工房を建て、染織、陶芸、木工など衣食住にかかわるモノをデザインし、それを手づくりすることでした。
 しかし実際に暮らすようになってからはモノづくりに対する考えが大きく変わりました。
 それは規模や格好でなくて、もっと身近なところで生活の知恵や手作りによるモノづくりの文化が田舎にはたくさん残っていました。これまでの機械による合理化や効率重視のモノ作りよりも手によるモノ作りの大切さを再認識するようになりました。
 田舎にはそういうたくさんの宝があるのに都会を意識するあまり「ないものねだり」になっている。大きいから強い、大勢だから強いことだってあるかも知れない。けれども本当に強いのは個の力であり、その力のある個ならば、規模が小さかろうと、田舎であろうと、全く関係ない――それが本当の強さだと思います。
 己の身の丈を知り、おごりを持たず、謙虚であれば、何も恐れることがない。さらに工夫と変化を感じ取る感性があれば、規模が小さかろうが、田舎であろうが全く関係ない――いつしか田舎での私のモノづくりがコトづくりへと変化していました。人もまちもナンバーワンでなく、「なくてはならない特別な存在」になることを目標にしていきたいと思っています。
 また今の“緑の風景(自然)”がまるで空気のように身の回りに存在する生活は現実社会においてもっとも贅沢で最高の暮らしではないかとも感じております。


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美土里の森 代表
NPO法人やまなみ大学地域自立支援センター 理事長
広島地域資源活用研究所 有限責任事業組合 代表
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三次CCプラザ 文化教室講師
県立高校非常勤講師
美土里の森テレビ共同受信施設組合 組合長

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