04・脅威のジャイロスコープ


んぼろ宇宙船『ヤッタルデ』が種子島の秘密基地を離れたのが2003年でした。軌道に乗りホッとした頃の話……

金星の近日点の移動(毎年6m)は、あの理論によって証明されるといいます。強い引力源の自転は時空もそれにつられ曲げられてしまう、レンス・テリング効果と言うのだそうだ。

金星は惑星間の引力による誤差もあるので、誤差の少ない伴星を持つパルサーでそれを調べようとするプロジェクトがあるらしい。

対象のパルサーはペガサス座のHR8703。 レンス・テリング効果が0.035秒角(ちなみに月の視角は0.5度=1800秒角)といわれている。サスペンス風に言うと「これの裏を取り」に行くらしい。

位置の測定には、ドイツ・ボンのマックス・プランク電波天文台研究所、スタンフォード大学、NASA、ロッキード・マーチン社がこぞい、正確を期すためESA衛星ピッパルコスを打ち上げて(2004年4月)測定は宇宙で行われるというものものしさ。

その方向を記録するジャイロがまたすごい! 3.81cmの石英(滑らか度40原子以下)の球に金属を蒸着し、冷やし超伝導状態で保持容器に入れ、浮遊した状態でヘリュウムを吹きつけ3700〜5000回転にし、直後ヘリュウムを抜き真空にする。

変化の測定は磁気によって行い、1セットに4個の石英球を使うという。このジャイロは摩擦がほとんど存在せず、回転速度の遅れは、なんと!1000年で1%なのだそうです。

これを先のESA衛星ピッパルコスに載せ、その方向をロックオン。何年をかけての0.035秒角なのかは知りませんが、1年をかけてこのジャイロで測定しHR8703の移動の何分の一かを調べるという。

最初の理論から90年、スタンフォード大学の計画から45年もたってやっと「裏が取れる」らしい。

いや〜〜メカ屋の執念を感じますね。

<参考文献:
「早わかりアインシュタインの宇宙」マルティン・コルネリウス(岡田信弘訳)大月書店>


   20011.8.21 

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