引力に引かれて壊れるのではなくて…
太陽系の惑星の環(輪)について考えてみます。その惑星には環だけではなくて多くの衛星も周回しています。もちろん環の構成物も周回しています。
衛星の周回速度は、親惑星から離れるほど遅い速度で、近づくにつれて速くなります。周回は円運動ですから速度は正確に言えば角速度という加速度であり「力」です。
衛星の差し渡しが 5kmくらいのごく小さいものであればその重力による集合の力は僅かなものです。その少衛星が親惑星から百万kmも離れて周回しているのであれば、衛星は微力の集合力でもまとまって周回できます。
この小天体が衛星として捕らわれるのが 惑星に近い位置であったなら、つり合うための周回速度はずっと速くなります。
すると、親惑星との距離が 5km ほど、近い、遠い、でつり合うための周回速度の差は、小衛星の重力による集合力を超えることが起こります。角速度も力ですから。
衛星の親惑星に
近い方では角速度の力が勝り、衛星の構成物は少しずつ周回進行方向の
先へはみ出していきます。
遠い方でも角速度が勝り、進行方向の
後へはみ出していきます。
崩壊する際の接触で幅は5kmより広がるでしょうが 何回か公転すれば小惑星はおおむね同じ位置で環の形に姿を変えてしまいます。
もし衛星が十分に大きく 構成物も重い元素であれば その重力による集合力も大きくなり、親惑星に近くあっても 公転軌道上にバラケることは起こらないでしょう。
しかし、大きければ衛星ではなくて 落下衝突吸収となる可能性のほうが高いので、実現はしないのでしょう。
衛星と惑星も つり合っていますので、公転自転同期の作用と 公転速度差の作用(いずれも15で説明)のふたつの作用を衛星は同時に受けていて、前者が後者を凌いでいるのが普通です。
ここで、惑星が十分に大きくて、衛星が軽い固形物元素で かつ 小さい集合体であれば、どちらの作用も 小さい引力の集合力に勝ってしまいます。結果として後者の作用が誇張された動きとなります。前者が負けたのではありませんが、その作用はバラバラになった固形物に個別で表現されるしかありません。
『
親惑星の引力が 衛星を引っ張って 崩壊させてしまう』のではないでしょう。それであれば、崩壊した構成物は同じ位置で周回なぞできません。
大きい天体に向かって 衝突に至る落下をしている小天体に作用している外力の場合と混同しないようにしたいですね。
ただ、環ができる順序として、、小天体が惑星に近づく、近傍の衛星として捕まる、環の姿に変わる、の出来事は区切りがある進行ではありません。観測者に見える進行は、それぞれの終わりと初めが重複した出来事となります。
衛星になれない接近(衝突落下)であれば、つり合う関係ではないので、惑星の引力作用による崩壊が起こります。似たような崩壊に思えますが、この場合とは区別するべきでしょう。
2018.1.22
38→→
HPへ
→→
スマホへ
|