52・複雑な銀河の動き <どの位置も等速で回る>

銀河はなぜ形を保つのだろう


天文家のハッブルは銀河をいくつかの形に分類していますが、その中で大型の銀河は、天の川銀河やアンドロメダ銀河のようにたいてい渦巻き型になっています。

この渦巻き銀河においてバルジの外側を回る長く伸びた腕の回転速度は、バルジに近いところも遠く離れたところもあまり変わっていないことが知られています。

その速度は、天の川銀河では270km/秒(1周2.5億年)或いは350km/秒(1周2億年)ですが、問題はこれがバルジへ落ち込む速度なのか飛散する速度なのか、しかとは決めかねることにあります。

もし銀河の星や物質が付近の一帯から引力に引き寄せられて集まってきたのなら、バルジに近くなるほどその集積(落下)速度は速くなるはずですがそのような動きにはなっていません。 またそれであれば中央のバルジに向け集積が進み渦巻銀河は腕をなくし、とっくになんらかの塊となっているはずですが、渦巻銀河はいまだ宇宙にたくさん存在しています。

反対に、腕の内・外の速度に大差がないことは、形を保つことにおいて外側の速度が速すぎるとの解釈も出来、すると銀河はとめどなく広がってゆくと思えるのですが、例えばアンドロメダ銀河の数十倍の超大な直径になっているものも見当たりません。

「銀河には物質が流入し続けている」というのが現在の通説となっていています。このことから、銀河がその大きさを永年にわたり保つのは、ハローにある見えない質量が銀河の集積縮小を防いでいるからだろう…とも想像されています。

でも‥

渦巻銀河は相当に扁平になっています。天の川銀河は直径は10万光年ありますが厚さはバルジ付近で1.5万光年です。星や物質が密集しているのは銀河の赤道面付近ですが、横から見ると長くはありますが直線的な狭い範囲となります。

つまり渦巻銀河の縁あたりの腕においては、その内側全部が引力の対象になっています。その引力はすべて加算され真直ぐ内側に引き付けています、このことは360度どの位置に移動しても同じことです。

そして内側の腕に移っていくほど引力源は減ってゆき、バルジの少し外付近の腕においては、外側の腕による外側への引力も働いてきます。

ケプラーの第2法則によれば、太陽系の惑星や彗星は太陽から離れると引力は小さく公転速度が遅くなり、太陽に近くなると引力は大きく公転速度が速くなることで全体の形を維持していますが、 銀河系では、銀河の中心から離れると引力は大きくなり、銀河の中心に近くなると引力は小さくなり更に外からの引力までかかってしまう。状況はまるで反対になっているのですね。

つまり法則は機能しているのだが、銀河においては外と内が裏返しのようなことになっているのでは…

ですから外側の腕の速度が法則より速すぎるように見えても宇宙空間の外に広がってはゆかないのでしょうか。

またごく内側の腕も、外側から働いている引力のおかげで急速にバルジに落ち込んだり、周回速度が増加したりしないのでしょう。

しかし350km/秒の速度と知れるだけであり、銀河達はわずかずつでも大きくなっているのか、或いは小さくなっているのか、その大きな時の流れはやはりわかりません。

でも銀河に関する限り『見えない質量』は必要ないのでは‥

   2008.7.1 

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