- 銀河はなぜ渦になる? なぜ平らになる?<成長する仕組み>

53・銀河の自転と公転と潮汐


銀河はなぜ渦になる? なぜ平らになる?

 1・恒星の距離と銀河の距離

太陽の近くで輝く恒星には…
ケンタウルス座の…プロキシマ…………4.24光年
ケンタウルス座の…AとB………………4.37光年
へびつかい座の……バーナード星………5.97光年
しし座の……………ウォルフ359番星… 7.79光年

などがあります。隣にあるといっても遥か遠くの距離であり、太陽の直径をローソクの炎と例えて パリで光っているとするなら…

プロキシマの光りは…ブリュッセルにあり、
AとBは………………ロンドンで、
バーナード星は………アムステルダム、
ウォルフは……………ベルリンといった所だそうです。

これらの恒星密度は天の川銀河のどの箇所においても濃淡はあるものの概ねこんなものであり、他の銀河においても変わりはないだろうとのこと。

でも写真で見る銀河の形や輝きはまとまりがあって鮮やかなものです、これは個々の引力関係は遠距離ゆえ希薄であるも集団になればしっかり引力でつながっているということでしょうね。

銀河をボタンくらいの大きさに例えると銀河と銀河の距離は両手に持った距離くらいなものだそうです。今度は意外と近距離に感じます。(10何年か前の米国テレビ番組の1コマです)


 2・銀河同士の引力

恒星は連星や三連星など複数で引力を及ぼし合って共通の重心をつくりそこを拠点にして周回(公転)している連携星が多く存在するといいます。

宇宙に散在する銀河同士は意外に近隣しています、恒星の密度よりも遥かに「ご近所」です。集団としての引力も強大なはずですから恒星の連携を遥かに超える強力な銀河同士の連携が成立するでしょう。

よってごくごく小さい銀河でも当初より連携銀河となり複数の一員として共通重心を回ることになるでしょう。ほどなく公転自転同期の作用でこの銀河は自転も始めることになります。その詳細は「15・月の自転と公転なぜ同期」をご覧ください。
     
銀河の中心にある恒星の大集団のバルジは 最初は真球に近かったのでしょうが、同期の作用で全体自転などを始めると、バルジは僅かな円盤形に変わり始めます。

さらにバルジの外側に於いても、全体が自転すれば天体や物質はその銀河の赤道面に移動し扁平な形になってしまいます。こちらの詳細は「37・土星の輪はなぜ薄いのか」を御覧ください。

銀河の連携は止めどなく続いているでしょう。時を経るうちには他所から新規参入があったり 逆に逃げていく銀河もあると思われます。また複数の銀河が連携し公転をすれば、見る方向により 個々は遠のく時期も 近づく時期も、また離れたり 接近したりもありますね。

「引き合うはずである近隣する二つの銀河が離れる動きをしているのは外側から働いている『ハローの見えない質量』によるものだ」などとする必要はないのでは……


 3・銀河の腕<銀河の潮汐>

銀河は自転1回におよそ2〜4億年あまりかかりますから同じくらいの時間で公転しているでしょう。

銀河はあたりの宇宙空間から物質が流れ込んでいるとするなら、渦巻きの姿は良しとしても、腕が必ず2本あることが説明できません、1本でいいはずです。細長い直線形なども説明に困ります。銀河の腕は流出しているとすると自然で分かりやすくなるのでは…

宇宙で周回する物体は外に はみ出る動きをしません。内への接近もしません。周回速度の速い遅い、質量の大小を問いません。自転する銀河やバルジの変形の原因は別のところにあります。

銀河同士が互いに周回するときに発生する作用について調べてみます。作用は、剛体回転に基づく自転作用と、公転速度差による外側に流れ出る潮汐作用があります。「公転速度差の作用」は「20・地球の潮汐」に詳細があります。

3-1・銀河の大きさが小さめで、連携距離が遠いのであれば、上記の両作用は弱いものであり、バルジの扁平は進まないでしょう。俗に楕円銀河と呼ばれています。

 

3-2・大きさが中くらいで、距離もそこそこであれば、周囲に流れ出る公転速度差の作用のほうが僅かに勝り、バルジは扁平に変形するでしょう。

 

3-3・そこそこ大きくて、距離も近い銀河同士の連携であれば、芳しい公転速度差の作用が現れ、バルジの周辺部から物質や恒星までもが流出して腕が出現するでしょう。

銀河に働く公転速度差の作用(腕の伸び出し)を図にしました。作用は共通重心に対して直角方向です。

 

この銀河の上辺あたりの天体は 公転速度差の作用を受けるため自転速度が遅れます、その分ほど作用の方向である右に移動したことになります。…下辺でも同様の作用と移動が起こります。

銀河の自転が公転に同期した速度であれば、共通重心方向に 常に同じ側面を向けた状態での公転となりますので、赤矢印の作用は留まることなく連続します。

よく言われる、「銀河に物質が流入する」とは落下することですから、螺旋状に回りながら落下したとしても、『渋滞』や『速度が遅くなる』などということは起こらないでしょう。

物質や天体は衝突しながらでも速度を上げて落下します。また銀河は見かけるほどには物質や天体は濃厚ではありません。冒頭に紹介したような密度です。

ほぼ全ての銀河は複数で連携を持っていて、大なり小なりの公転をしていて、そこには 銀河の潮汐が作用します。1公転には 2〜4億年か それ以上かかりますので確認は難しいことです。

同じようなサイズの連携であれば双方共に同期した自転となり、互いの公転面は角度を違えることもありません、同一の面となります。
   
さらに銀河であれば公転速度差の作用が特定部所に対して非常に長い時間持続して働きます。これらの作用により、棒状銀河、ゆるい S字状銀河を形成すると思われます。


 4・腕の渦巻き

1対1の連携
連携が1対1であっても、大きさが異なるサイズであれば 公転自転の同期は小さい方だとなり、大きい方の銀河は同期しません。その代わりに自転速度が同期した時間よりも速く自転することとなります。これについては「35・惑星の自転はなぜ左回り」をご覧ください。


小さい方うの銀河は上記3の説明がそのまま充当します。大きいほうの腕の伸び出しは同じですが、その後の腕は周回方向と平行にはなりません。小さい銀河の腕の方向と平行にはなりません。

その公転速度差の作用の方向は、バルジの周囲にまとわりつく方向に曲げてしまいます。銀河同士の連携と腕のできる仕組はこれが最も一般的で最多でしょう。

2対1の連携
銀河をもう1基加えて、3の図の連携Aの2銀河をさらに別の銀河が公転したのが次の図です。

連携Aの平面と 連携Bの平面は、角度が(90度を最大にして)異なる場合があるぁも知れませんが、ここでは ほぼ同一平面として進めます。

銀河B2の連携への参加の仕方や時期などがあり、銀河B2の腕の形の特定は難しいでしょう、基本は棒状銀河だとして図も、、
     
銀河A1や銀河A2 は同期していますから、腕の物質の吐き出し位置は変化しません。しかい腕が長くなると銀河自体の自転半径が大きくなります。すると銀河B2による公転速度差の作用が A1やA2 の腕に働き始めます。

一般に、連携Bの公転時間は 連携Aの公転時間より長いですから、A1・A2はB2に向く場所が順次変化します、向きを変えた所にB2の公転速度差の作用が働きます。このことで銀河A1、銀河A2 の腕は曲がって渦状になるのでしょう。

永らく連携Aであった後、B2の連携が増えれば 腕は急激に折れ曲がり、鍵状銀河、中心に長い棒状を持つ棒渦巻き銀河になるでしょう。


 5・腕の詳細

超新星の爆発では多くの物質が誕生します、鉄などの重元素や岩石ダストです。多量の水(後に氷結)も含みます。他にも水素やヘリュウムや各種の気体やガスが多量に飛散します。

岩石ダストが最も多く排出されるのはバルジの中です。多くは別の恒星に吸収されますが、これらは単独の塊としては小さいので動かされやすく、公転速度差の作用(赤矢印)により バルジの周辺に移動し、更にバルジの外に流出しますます。

   

恒星は、ひとつの塊としては、岩石が集合した小天体(例えば惑星)と比べても段違いに大きい質量です。よって赤矢印の最も大きい最外側で動き出すことになり、岩石群の外側に隣接して流出するでしょう。

この伸びた腕に、相手銀河の公転速度差の作用(下図青矢印)が働きます。連携Aと連携Bの周回速度はAのほうが速いのが普通です(1対1ならA1)。ために、下の青矢印はゆっくり回っていく状態となり、腕は渦状に曲げられていくでしょう。

     

腕の恒星群は岩石群と接していて、これを吸収して大きくなり超新星爆発を繰り返します。この境界位置では恒星の新陳代謝が盛んとなるでしょう。

また、岩石群として彷徨う天体は どこかの恒星に捕まり、惑星として新たな環境を得る場合もあるでしょう。渦巻き銀河の腕はたいへん長いので、惑星を有する恒星もたくさんあり、ひとつの恒星で 5〜10 あまりの惑星が廻っていると思われます。

ですが、液体の水が存在できる区間は非常に狭いので、生命体が存在する惑星は、1恒星で1惑星がやっとでしょう。それでも生命体の存在する惑星は宇宙では普通のことであり、地球も数限りない生命体惑星のひとつです。


 6・折れ曲がる腕

3-3で、永らく連携して長い腕を作った後で、A1が他の銀河A3へ連携の鞍替えをしたとします。もしA3との連携が逆回りであったなら(裏から見て逆とするのではなく)、A1の長い腕もまとめて一つの大きさとなり、その腕の先端から新たな腕が流出します。この連携が続けば腕は折れ曲がった L字になります。

左回り連携が永らく続き、その後に右回り連携があって、その後 再び左回り連携になったとすれば、両方の腕はそれぞれ T字の形状となるでしょう。

 

銀河の連携は、1対1、2対1、3対1、3対2、3対1対2、、、多くの場合が実在しているでしょう、ここでは 1対1、2対1 を例としました。


 7・腕の飛散

観測できる宇宙には取り立てて大きいと見える銀河がありません。存在していないようです。NASAによりますと、渦巻き銀河の腕の巻数は最大でも3巻未満だそうです。4巻や5巻などは見つかっていないそうです。

渦巻き銀河の渦が長くなると銀河の直径も大きくなります、すると銀河周辺の公転速度差の作用は大きな差となってしまいます。

公転速度差の作用があまりにも大きくなれば、その位置にある恒星や物質はその銀河が保持している支配可能な角速度を越えてしまいます。

銀河の自転はよく知られているように「内も外もほぼ同等な速度」ですから、一般的な「自身の形を保つのに重要なな 外に行くほど遅い速度」とは様子が異なっています。

つまり銀河の自転は、外側の自転速度が速くても、形を保つことが可能なのでしょうが、公転速度差の作用で更に速くなってしまうため、見合う半径以遠の腕の天体や物質は銀河本体と決別して宇宙の彼方へ飛び去ってしまうのでしょう。

M51(※)という親子銀河があります。
(※) M51の画像

子供銀河の位置は、親銀河の過去のラグランジュ点 だったのではないでしょうか、大きすぎる公転速度差の作用で親銀河から離脱した物質がその位置で引力的に安定したため、多量に吹き溜まってしまったのではないでしょうか。

銀河は宇宙に存在するために、何処かの銀河とつり合わなければなりません。天涯孤独であれば、何処かより受ける僅かな引力によって、いずれは吸収されてしまいます。或は正面衝突となります。

最後になりましたが、流出を続ける物質は銀河のどこにあったのか… これについては「46・太陽で陽子反陽子生成誕生」や「44・太陽に水素が多いのはなぜ」をご覧ください。


   2011.1.13  (2021.11.3 リメイク)

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